姫路の家
施主のYさん御一家は、子供4人とおばあちゃんを含めて7人家族。おまけに、近所に嫁いだお姉さん達も絶えず行き来する大家族です。そんな仲の良い一家にとって、なくなられたおじいちゃんの建てた住宅は思い出の詰まった家で、全面的に建て替えるのもしのびない思いがあったようです。
とはいっても、水廻りは古くなって不便だし、子供たちも大きくなってくるし、何と言っても、お姉さん達の家族も含めてみんなが集まる部屋がない。そのあたりを解消することから設計が始まりました。
まず、母屋と離れ(若夫婦の部屋)の間に洗面と浴室を増築し、これまでの浴室部分と古い台所、茶の間を大きなLDKとしました。ただ大きな部屋を作っただけでなく、構造に必要な柱を利用して、台所・食堂部分と居間の部分を軽く分離し、普段、家族だけの時と一族みんなが集まった時の両方で快適に過ごせる空間を演出しました。
また、作り付けの収納を増やすと共に、何でも押し込めるパントリーを、台所とユーティリティー(洗面脱衣室)の間に作り、咄嗟の来客にも部屋が片付くように配慮しました。
台所は、杉の集成材を天板に使って特注しました。家族だけの時はコンパクトに、みんなが集まるときは大勢で家事を分担できるようにと考えて、大きなアイランド型のキッチンを提案したので、既製品では対応できなかったからです。
同じ材料で作った食卓は直径1.5mの円形で、真中には回転台もあります。これは、ご主人のアイデアですが、中華料理店風のテーブルも、杉の天板と落ち着いた色使いで、この家の雰囲気にマッチしたものになりました。このテーブルは、普段は丸の一部を取り外して、キッチンの角にはめ込んで7人でちょうど良い大きさになります。大勢のときは、もちろん、真円のテーブルに。ちょっと譲り合えば円形の威力を
発揮して、何人でも座れる大テーブルになります。いずれの場合も、真中の回転台は、大活躍だそうです。今年のお正月は、20人余りの一族が大集合したそうですが、快適に過ごせたそうです。
杉の無垢板で明るく生まれ変わったこの家は、普段から、家族だけでなく、お友達や近所の人も気軽に出入りするという、暖かいYさん御一家の人柄にふさわしいものになったと思います。

写真撮影・新極 求
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