須磨の家
須磨の家は、古くからの住宅地にあり、木造2階建ての住宅が密集する中にある。
周囲の環境に配慮して南北に長い敷地の西よりに配置されたが、東側のアプローチ通路を居間と一体に考えることで面積以上の開放感を実現している。縦長の平面の中央に取られた玄関と階段室は、1階のLDKと和室、2階の主寝室と子供室を明快に分離し、トップライトの光によって移動の際のアクセントになっている。
切妻型の印象的なファサードは、薄肉ラーメン構造により実現された。これは、柱型の出ない壁構造と窓が大きく取れるラーメン構造の利点を折衷した構造方式である。深く突き出た屋根のラインは、正方形に構成された窓と共に家と家族を象徴する形象となっている。
特に1階の壁にはめ込まれた30cm角のガラスブロックは、居間の飾り棚と対応し、昼夜でその印象を劇的に反転させる。住まい手の心遣いを感じさせるその光景は、道行く人に街灯のようにやさしい光を投げかけている。

写真撮影・新極 求
(C)Archimera Architects Office. All rights reserved.